戦前と戦後で川本宇之介から聾唖者達に対する扱いの変化について

 戦前は聾唖界という会報誌で川本宇之介から聾唖者に対する文章は威圧的な文章が目立っていましたが、戦後になると日本聴力障害者新聞で川本宇之介から聾唖者に対する文章が軟らかくなり、優しく語りかけるという文章になってきました。

 その理由について私なりに考察してみた事を書いてみます。

 聾教育界で川本宇之介は激しい口調で語りかける文章で聾唖学校に努める教員達の支持を集め、掌握する事に成功したと思います。しかし、聾唖者達に激しい口調で語りかける文章で呼びかけても支持を集める事はおろか、逆に川本宇之介から大きく離れる結果になってしまいました。激しい口調で語りかければ語る程、聾唖者達は三羽烏を始め、有力な聾唖者達に依存する様になってしまった事や、聾唖者達は聾唖学校に努める教員達と違って、社会の中で差別に耐えたり、或いは闘っていたりと社会の荒波に揉まれて反骨心が強い聾唖者達が多く、川本宇之介が威圧的に語りかけても屈する事はありませんでした。だから、川本宇之介は威圧的に語りかけても逆効果であると悟り、優しく語りかける文章で聾唖者達の支持を集めようと試みたのですが、戦前の川本宇之介を知る聾唖者が多く、上手くいかなかった様です。


参考文献

  • 【聾唖界】
  • 【日本聴力障害者新聞縮刷版1巻】
  • 【Deaf Lief japan 2巻】
  • 【川本宇之介の生涯と人間性】
  • 【聾教育学精説】
  • 【大家善一郎の回想】