聾唖者と対面した杉梅太郎と吉田松陰兄弟

 杉梅太郎は吉田松陰の兄であり、吉田松陰と同様に聾唖の末弟である杉敏三郎の事を心配し、長兄として、又は家長として世話を続けていました。

 その杉梅太郎ですが、聾唖者である宇都宮黙霖と関わったという事がいくつかの文献に載ってありました。つまり、杉梅太郎は宇都宮黙霖と対面し、吉田松陰は谷三山と対面した事になります。

 吉田松陰は宇都宮黙霖とは処刑されるまで対面を果たす事は出来ず、往復書簡による応答のみでした。


 杉梅太郎は宇都宮黙霖が、吉田松陰は谷三山が筆談で積極的に関わろうとする姿勢を目の当りにした事になります。この姿勢を見た杉梅太郎と吉田松陰兄弟は聾唖の弟である杉敏三郎にも宇都宮黙霖と谷三山と同様に筆談で多くの人々と交流出来たらと淡い期待を抱いていたのではないかと思います。だから、吉田松陰は主催する松下村塾の塾生達と杉敏三郎と関わらせようとしていたかも知れません。実際、杉敏三郎は吉田松陰が処刑される際の最後の別れの時、塾生達と共に寄せ書きに加わっています。その時、杉敏三郎は「悔」という一字を書き残しています。


参考文献

  • 【吉田松陰の唖弟】
  • 【エピソードでつづる吉田松陰】
  • 【歴史の中のろうあ者】
  • 【日本聾唖秘史】
  • 【伝記 谷三山】
  • 【谷三山と吉田松陰の出逢い】
  • 【勤皇の傑僧 宇都宮黙霖】
  • 【宇都宮黙霖吉田松陰 往復書簡】
  • 【黙霖物語】
  • 【悔されど忍】