昭和12年、当初はヘレンケラーが秋田県立盲唖学校を訪問する予定はなかった。
遥々秋田を訪れる
ヘレンケラー女史
12日深夜秋田着
13日は2回にわたり講演
20世紀の驚異といわれている三重苦の聖女ヘレンケラー女史は各地に講演旅行を続け来る12日午後9時6分、秋田駅着で来市、翌13日県教育会並びに一般大衆のための講演会に臨むこととなり、秋田盲唖学校内ヘレンケラー博士秋田招致事務所より左の如く日程を発表した。
◇13日(日)、午前休憩、県庁訪問(午後0時半)、記念写真(同1時記念館)、県教育会講演会(午後2時同)、一般大衆講演会(午後7時同)
◇14日(月)、午後2時3分出発。
なお、女史は連日の講演旅行にて相当疲労をしているので、13日午前中は一切の訪問客を謝絶して保戸野中町聖公教育会牧師ハリソン夫人(カナダ出身)宅に休息する由にて、この催しは県市並びに県教育会、愛国婦人会、赤十字支部の5団体共同主催をなし、経費の全部を分担することとなっている。
盲唖学校児童ら
非常に失望
学校へは回られず
秋田県立盲唖学校の聾唖児120名は毎年6月27日のヘレンケラー女史誕生日に記念行事を催す等、女史に対する大きな憧憬をもっていたが、今回の女史来県は予定変更により都合で同学校を訪問し難い事情にあり、児童たちの失望は非常なもので、中山校長もどうにか日程を繰り合わせしてもらい、ただ一言でも激励を言葉を聴かせたものと奔走している。なお、13日、県教育会の講演会場では同校の聾生女児童の手から歓迎の花束を贈呈することになっている。
【秋田魁新報 昭和12年6月4日(金)朝刊3面】より引用
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